
2022年11月9日(水)に大阪のホテル阪急インターナショナル、17日(木)に東京国際フォーラムにおいて、開催された「プラネットユーザー会 2022」の基調講演に登壇しました。
3年ぶりにリアルでの開催となり、メーカー、卸売業の方を中心に、大阪・東京会場では151社219名の皆様にご来場いただき、オンラインでの配信は111社168名の方にご視聴いただきました。
基調講演抄録はこちらから。
心理的安全性が生産性を最大化する。
現代の組織において 「心理的安全性」 は、生産性を最大化し、持続的に成果を出せるチームをつくるために不可欠な要素です。
Googleの「プロジェクトアリストテレス」の研究では、心理的安全性の高いチームほど、生産性が向上し、成果を出しやすい ことが証明されています。しかし、今なお多くの企業は、古いパラダイムに基づいた働き方やマネジメントを続けており、このパラダイムを変革しない限り、企業の成長は停滞し、競争力を失う可能性が高まります。

企業に求められるパラダイムシフト〜過去と現在の価値観の衝突〜
現在の組織の中には、異なる3つの価値観が共存しています。
1「働くことは家族を養うため」という産業革命以来のパラダイム
2 「消費が豊かさを生む」という1980年代の大量生産・大量消費のパラダイム
3「社会に貢献することが美徳」というZ世代が主導する新しいパラダイム
この価値観の違いが、組織の中で衝突を生んでいるのです。
たとえば、50代の上司が「もっと残業しろ」と言い、20代の部下が「社会に意義のある仕事がしたい」と考える。このズレを無視し続けると、社員のエンゲージメントは低下し、離職率が高まります。
しかし、過度な心配は無用です。
人間の本質は変わりません。どの世代も「希望を持ちたい」「承認されたい」「喜びを得たい」 という欲求を持っていて、これらを満たす環境をつくることが、パフォーマンスの向上につながるのです。

心理的安全性が生産性を向上させる理由
心理的安全性が低い組織では、メンバーにこんな兆候が出始めます。
・新しいアイデアを提案しなくなる:「的外れと思われたくない」
・ 問題があっても報告しない:「波風を立てたくない」
・ 上司の意見に疑問を感じても口をつぐむ:「反論したら評価が下がるかも」
この結果、イノベーションが生まれにくいどころか、組織は停滞し負のスパイラルとなります。心理的安全性が低い環境では、メンバーは指示待ちになり、自発的な行動が減るのです。
一方、心理的安全性の高い職場では、率直なフィードバックが可能になり、問題の早期発見・解決が進みます。
・「間違えても大丈夫」と思えることで、挑戦が生まれる
・フィードバックを恐れず、成長の機会として受け入れられる
・立場に関係なく意見を出せることで、最適な意思決定ができる
結果的に、生産性が向上し、組織の競争力が高まる のです。
「心理的安全性が高い組織」と「楽しくやさしい職場」は違う
「心理的安全性を高めると、指摘しづらくなるのでは?」という誤解があります。実際には、心理的安全性のある職場ほど、厳しいフィードバックが活発に行われます。例えば、「ここ間違っているよ、直して」 と言える組織と、言えない組織、どちらが成長するでしょうか?
・心理的安全性のある職場では、率直な指摘が日常的に行われる
・問題点がすぐに指摘され、早い段階で修正できる
・個々の成長スピードが上がり、組織全体の成果が向上する
Googleの研究では、「心理的安全性があるチームは、率直なフィードバックを恐れず、結果的に生産性が高い」 ことが証明されています。

企業の未来を決めるのは「心理的安全性」
今、多くの企業が「働き方改革」や「DX推進」を掲げていますが、心理的安全性のない環境では、どんな制度を導入しても機能しません。テクノロジーを導入しても、メンバーが「意見を言えない」「ミスを報告できない」組織では、変革は進まないのです。
「心理的安全性がない」=「メンバーが本音を言えない」=「組織が成長しない」
これからの企業が競争に勝つためには、いかに「率直な対話ができる組織」をつくるかが鍵 となります。企業の未来は、心理的安全性にかかっているのです。
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